東京地方裁判所 昭和46年(借チ)2104号 決定
〔主文〕1 申立人が本裁判確定の日から三月以内に相手方に金八〇万円を支払うことを条件に、申立人が、東京都世田谷区南島山五丁目一五番五号株式会社三京に対し、別紙目録(二)記載の土地に関する賃借権を譲渡することを許可する。
2 前項による土地賃借権の譲渡を条件に、別紙同目録(二)記載の土地に関する賃貸借契約の賃料を右譲渡の日から3.3平方当り一ケ月一三八円に改める。
〔理由〕2 附随処分
本件許可の裁判により、申立人は、本件借地権を相手方の意思に拘らず株式会社三京に譲渡することができることになり、本件借地権の経済的価値、すなわち、借地権価格は増加することになるので、当事者間の利益の衡平を図るため、申立人に対し、相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。右財産上の給付は、譲渡性のない借地権の価格と譲渡性のある借地権の価格との差を上限とするのが理論的であると考えるが、両借地権価格の差を求めることは、不動産鑑定評価の実情では困難のように見受けられるので、慣行化している名義書替料の額を標準として財産上の給付を定めることにする。名義書替料は、鑑定委員会の意見にもあるように借地権価格の一〇%が一般であるので、財産上の給付を同委員会の評価する本件借地権価格七九六万三、〇〇〇円のほぼ一〇%にあたる八〇万円とする。同委員会は、残存期間が六年あることを考慮し、名義書替料の額を減額しているが、その理由を示さないのみならず、名義書替料の理論的根拠を譲渡性のない借地権の価格と譲渡性のある借地権の価格の差に求める以上残存期間の如何により名義書替料の額に差異をつけるのは理由のないことである。
賃料は昭和四三年八月一日から一ケ月二五〇〇円に改められたまま、その後改定されていないので、その後の物価の上昇、本件土地に課せられる公租公課の増額を考慮するとき、本件借地権譲渡の機会に近隣並に増額するのが相当であり、鑑定委員会の意見により、譲渡後の賃料を3.3平方米当り一ケ月一三八円に改める。 (小山俊彦)
目録<略>